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理加せんせいの子育てコラム

おざわ幼稚園副園長の小澤理加です。
2人の子どもを育てた自分の経験をもとに、毎月子育てコラムを掲載します。

2017年01月

見て見ぬふり

理加せんせい

日本中を寒波が襲った数日後の夕方、帰宅しようとしていた先生が戻ってきました。
職員室の扉の外に数名の中学生が立っていて、
「幼稚園の先生ですか?」
と、声を掛けられたのだそうです。
傷だらけで瀕死の鳩を見つけてかわいそうに思い、その場を立ち去ることもできず、寒い中どうしたらいいかと困っていたので、これから保育園のお迎えがあった先生でしたが、とりあえず現場まで一緒に行くことにしました。
現場は、園庭を過ぎ、隣の家も過ぎ、道路も過ぎ…、意外と距離がありました。
駅に向かうはずだった先生でしたが、それでもまた職員室まで戻って報告してくれたのでした。
 そして、それを受けた園長先生も、パソコン入力の仕事中でしたが、鳩救出に出動!
新聞紙にくるまれて職員室に運ばれた鳩は、首と背中にひどくけがをしていました。
もう虫の息で、聞こえるかどうかのか細い声で「…グルッ…」と鳴いています。
 見るに見かねて園長先生は、いつもお世話になっている動物病院へ連絡。
「野鳥だけど、いいですよ。」
と、瀕死の鳩を快く引き受け、診てくださった先生から、翌朝、死んでしまったとの報告の電話がありました。伝書鳩だったようで、識別できるよう足輪がついていたそうです。
中学生も、先生も、園長も、獣医さんも、誰も見て見ぬふりをしなかった、寒い日にちょっぴり心が温かくなった出来事でした。

 2学期にも、こんなこともありました。
卒園した一年生が、家が近くの新しい友達と一緒に下校途中、
「トイレ貸してください。」
と、幼稚園の玄関から入ってきました。もうすぐ家なのに、トイレ間に合わなかったかな。
すると、また次の日も
「トイレ貸してください…」「絆創膏ください。」
幼稚園が懐かしくなったのかな、それとも先生に会いたくなったかな。
元担任も、その声を聞いて、笑顔でかかわってくれました。
 何度目かの来園の後、子どもからその話を聞いたとのことで、お母さんもわざわざ園に電話をくださいました。
「なんだか、本当にすみません。用事もないのに幼稚園に何度もお邪魔しているようで…」
先生も、お母さんも、見て見ぬふりをしないでかかわってくれたお陰で、今はぴたりと
「トイレ貸して…」
はなくなり、笑顔で幼稚園前を通り過ぎるようになりました。小学校に馴染んだのかな。
(もちろん、幼稚園は緊急避難場所の役割を果たしているので、困った時には、駆け込みOKです。ご安心ください。)

 3学期は特に忙しく過ぎていく毎日ですが、だからこそ、このような優しい気持ちを大切にしたいと思いました。
子ども達の環境づくりの一つとして、小さなことでも大切だと思ったことには見て見ぬふりをせずに対応することで、そういう優しさがさらに育まれていくことでしょう。