2人の子どもを育てた自分の経験をもとに、毎月子育てコラムを掲載します。
2024年8月
せんたくかあちゃん
1学期中、新しい環境で過ごしてきて、先生や友達との関わりが増えました。困っている友達を見つけると、「どうしたの?」と優しく声を掛ける子ども達も出てきました。
それは、年少児に掛け続けてくれた年長児の優しい言葉のおかげです。本当にありがとう。
それを毎日近くで見ていた年中児も、声を掛けてもらっていた年少児も、それが関わりの手本となり、思いやりの心を学んでいるようです。
これが幼稚園の良さですね。周りの人がしていることに影響を受け、親しみを持ち、どうしたのかなと関心を持つ。コミュニケーションは、そこから始まるのですね。
ただ、その優しさに甘えすぎてはいないかな?と思うことが時々あります。
本当は自分でできるのに、友達がしてくれるのを待っている様子。
本当は自分で言えるのに、先生に声を掛けてもらうまでじっと待っている様子。
水遊びの度にクラスでは自分で着替えをしているのに、お家の方にはバンザイ状態で脱がせてもらっていたり、帽子をかぶせてもらっていたり…。
7月のある日こんなことがありました。
水遊び前の着替えの際に、困っていることを自分から言えずただ泣くだけの年少児がいました。担任とのやりとりの後、スモックが入っていなかったことが分かったため、長袖スモックを着て遊びました。
その時、担任は「泣いているだけでは助けてあげられないけれど、どうして困っているのかを教えてほしい。そうしたらすぐに助けてあげられる」と、その子に伝えたのだそうです。
その日の給食で、同じ子がたまたまシュウマイをコロンと床に落としてしまった現場を見た担任が、どうしよう、また泣いちゃうかな…と心配していると、
「先生!おとしちゃった!」
と、大きな声ですぐに先生に知らせることができたのだそうです。
「そうそう。そういうこと!今度は困ったことをすぐ先生に言えたね!助けてあげるよ。」
と、たくさん誉めたのだそうです。シュウマイを落としたのに嬉しくなるなんてと、笑いながら教えてくれました。聞いていた私も、1日のうちにそんなに成長できた様子が嬉しくなりました。このような経験をたくさんできるところが幼稚園なのです。失敗から学ぶことは本当にたくさんありますね。
また別の日は、朝から本降りで、みんなカッパを着たり傘を差しての登園でした。
門のところでは、カッパを脱がせてもらったり、自分で脱いだりと様々な様子が見られました。
ある年長児は、傘を自分でたたもうとしていました。閉じた傘を巻く方向が反対になってしまい、苦戦しています。うまく巻くことができない様子を、お母さんは後ろからじっと見ていて、少し手を添えました。方向を示してあげたのです。
そのおかげでなんとか巻くことができましたが、とめる時も反対方向になってしまいました。
再度お母さんは方向を示すために手を添えましたが、最後まで辛抱強くチャレンジを見守り、自分でやりきった男児はよほど集中していたのでしょう。「はぁ」と大きく息を吐きました。自分で頑張った子は、一歩前進です!そして、お母さんも偉い!!と心の中で大拍手。
あと半年で就学を迎える年長児です。周りの大人がどう関わるかが、今後に影響してきます。